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Wave of Sound の研究月誌
<トピックス> 財政赤字 ブログ

財政赤字の持続可能性について

膨れあがった政府の累積債務を解消の方向へ持っていくために、社会保障、教育、公共投資などの支出を抑制あるいは削減し、まず財政収支の黒字化をするべきだ、という意見がある。一方、大幅な財政出動で成長率を高めれば、債務の負担は減るという意見もある。いずれが正しいのか。現在、ケインズ政策は有効なのか。もしその有効性がかつてより低下しているならば、何が問題の根本にあるのか。考察した結果を紹介したい。批判的な目で読んで頂ければ幸いである。

(目次の下に、結論の要約があります。目次は、各節へのリンクになっています。)

<目次>

    第1部 いくつかのシンプルな考察

    第2部 持続可能性を高める税財政政策

    付録


要約

以下、内容の要約を簡単に述べる。

第1部のテーマは、経済成長と金融政策である。財政赤字を論じる際に重要なポイントであると思われるのに、あまり語られることのない、いくつかの簡単な事実を説明する。累積債務が長期的に持続可能であるために大事なことは、目先の財政収支の黒字化ではない。財政収支は多少赤字であっても構わない。大事なのは「名目経済成長率を長期金利より安定的に高く維持すること」である。

成長率を長期金利より高く維持することは、1970年代以前の固定相場制の時代には可能であったが、変動相場制への移行後には難しくなった。その最大の原因は、消費性向の低下である(第2部で詳述)。これには、為替制度の変化に加えて、国際的な金融自由化の流れと労働規制の緩和が関係していると考えられる。

第2部のテーマは、税・財政政策である。焦点を税財政政策に絞り、財政収支を改善する政策について、数理モデルを使って論じる。それは、税率の限界的性質と消費に誘発される投資をシンプルな形で考慮したモデルである。

政府支出を切り詰め、徐々に税率を上げるだけの政策には未来がない。税率を際限なく上げる必要が生じるからである。どこかで政府支出拡大と経済成長を追求する路線に転じる必要がある。経済成長は累積債務の解消にプラスに働く。

財政収支の改善にもっとも有効な政策は消費性向の向上である。したがって所得移転政策が望ましい。消費性向の向上は経済成長ももたらす。消費性向の向上についで効果があるのは、投資性向を高めることである。しかし、投資が消費増に過敏になりすぎると経済システムの安定性を損ない、金利によるコントロールの必要が生じて累積債務の持続可能性にマイナスとなる。消費に左右されない長期的な投資を増やす政策が求められる。それには長期的な経済成長率の目標(名目で4〜5%)を公表し、経営者が消費の安定的な増加を期待できる環境を生み出す必要がある。


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(2007年1月作成  2008年1月9日 更新)